11.15.2010

反省会

(REUTERS)

APECで、県警の警備対策費は約8億4600万円に上り、警察官らの時間外手当は約3億円を見込んだ。首脳会議では、テロ警戒や要人警護などで、08年の北海道洞爺湖サミットを上回る2万人超の警察官が配置された(神奈川発コミュニティーサイト〈カナロコ〉http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1002100007/ )。

さて、非公式なフォーラムに、この血税は必要だったのか?
あの「横浜ビジョン」(↓)なるものを宣言するための、その集まりの警備にこれだけの税金が使われたわけですが、以下の宣言が、はたしてその金額に見合った素晴らしい成果でしょうか? その税金を負担した国民は、各自、反省会をするべきでしょう。この国の議会制民主主義を支持するならば。

〈横浜ビジョン〉

一、アジア太平洋地域は世界経済の原動力、成長のエンジンになった。域内の13カ国・地域は「ボゴール目標」の達成に向けて顕著な進展を遂げたと結論。
一、アジア太平洋地域の経済は金融危機から回復しつつあるが、不確実性はまだ残っている。
一、世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の妥結は2011年が極めて重要な機会。
一、輸出規制などの新たな保護主義的措置を取らない方針を13年末まで延長することに合意。
一、貿易・投資がより自由化され開かれているAPEC共同体の発展を追求。「緊密な共同体」「強い共同体」「安全な共同体」を構想する。
一、緊密な共同体への道筋としてボゴール目標が想定した20年の目標年に向けて、地域経済統合をさらに推進する。
一、アジア太平洋自由貿易圏は東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3、プラス6、環太平洋連携協定(TPP)などの地域の取り組みを基礎に発展させ、包括的な自由貿易協定(FTA)として追求されるべきだと信じる
一、APECはアジア太平洋自由貿易圏の育ての親として、重要で意義のある貢献をする。
一、APECの非拘束的かつ自主的な性質を考慮
一、アジア太平洋地域の物品やサービスの移動時間、費用、不確実性の削減の点から、国際物流能力を15年までに10%改善させる目標の達成に取り組む。
一、強い共同体への道筋として成長戦略を策定し、15年に向けて着実に実施。環境に配慮した「持続可能な成長」など5分野に焦点を当て、低炭素エネルギー分野の開発や中小企業、女性起業家支援といった政策を実施する。
一、安全な共同体への道筋として食料の安全保障、テロ、感染症などに関する取り組みを促進。
一、APECの新規参加に関する課題の検討を継続。
一、地域経済統合を強化、深化させ、貿易・投資に対する障壁に取り組むためのイニシアチブを策定、実施し、質の高い持続可能な成長を確保するための作業を加速。

毎度のG8/20サミットの最後に採択される宣言文しかり、こういうのは常にゆるゆるで、ぐだぐだな文章だ。国民の中に、世界の人間の中に、こんな文章をていねいに読むヤツはほとんどいないと思ってナメくさっているとしか思えない。これ読んで、連中が結局何のために集まったのか、何のために2万何千の鼠で大山鳴動させたのか、理解できるだろうか? 北海道で、山形で、福岡で、農民がTPP反対のデモをしていることを知りながら、「追求されるべきだと信じる」のは一体誰なのか? 反対する国民が存在しても、一切存在していないようにふるまい、そんなデタラメな信念を軽薄に宣言するための非公式な集まりに国民の血税を使うのだ。TPP反対の人たちは、その理不尽さに対して税金の返還請求訴訟をおこすべきだろう。経団連は、政府を使ってこの宣言を採択させ、これを口実に農作物市場の開放を進めたいんだろうが、一方で約二ヶ国の"大国"が嫌なことは拒否できるように「非拘束」なのだ。当然である、非公式フォーラムなんだから。つまり日本人もこんな宣言に従う義務はない。

とにかく、いかにも立派なことをやっているようにみせかけて、どんなに経済不況になってもこれまで金の回ってきたところには金を回り続けるようにし、金持ちの生活が貧乏人の叛乱で危険に晒されないように警察力にもっと金をかけたいという、これってとどのつまり、金持ちの幼稚な欲求以外の何物でもない。金持ちは、貧乏人からもっともっと吸い取ってまで、金持ちのままで安全に暮らしたいのだ。で、そのセコム代は税金で払いたいのである。

政治屋と財界は“安全に”APECを終えられてホッとしているだろう。反対デモに合計何千人も集まろうと、メジャーなテレヴィ局にはその報道をしないようにばっちり指導できたようだし、大成功。連中は反省会などする理由なし。


オマワリ側の深刻な反省会の議題は、
の(おまけ2)にまとまっているので参照のこと。